皆さんこんにちは!
高橋工業株式会社の更新担当の中西です
高橋工業のよもやま話
~高断熱・遮音・大型化・スマート化を現場知で解く ️~
“売れる窓/長持ちの窓”に仕立てるかを具体策でまとめます。**新築・リフォーム・非住宅(商業・医療・学校・工場)**それぞれのツボを押さえ、クレーム未然防止・施工連携・DXまで視野を拡げます。
サーマルブレイク+Low-E複層ガラス(Ar/Kr封入)+ウォームエッジスペーサが定番。
枠の断熱:樹脂ストラットの厚み・本数・位置で線熱貫流を抑制。
ガラス選定:日射取得型/遮熱型を地域別・方位別に最適化。南面は冬の日射取得、西面は夏の遮熱が効く。
気密:2段気密+可変気密材で風圧域でも漏気を抑える。
現場Tip:枠と壁の取り合い断熱を軽視しない。発泡ウレタンの“閉孔率”や防湿シートの重ね代をディテールに落とし込むと、窓だけ良くて周りで結露を防げます。
ガラス厚非対称(例:8+12A+5)で共鳴周波数の分散。
合わせガラス(中間膜)で中高域の吸収。
枠の空洞共鳴を吸音材・断面リブで鈍らせる。
すきま風=低域ショートパスを二段気密+重なり寸法で遮断。
営業トーク:“道路騒音が人の会話に落ちる”という比喩が刺さる。実機デモ+スマホ騒音計で体感を売る。
商業・教育・医療では見付が細い大開口が求められます。
スリム見付:内蔵補強(スチールインサート)/高強度アルミで剛性確保。たわみL/250〜300を目標に。
ユニット化:工場でサッシ+ガラス完成体をユニット輸送→現場は吊込みのみ。工期短縮・品質安定。
耐風圧・地震:支点可動/スリップディテールで地震時のガラス縁応力を逃がす。
現場Tip:ガラス吸盤の吸着面養生と搬入動線の段差解消を設計に織り込む。最後の10mが事故の8割。
カバー工法:既存枠を活かし、室内側に新枠。解体粉じん・騒音↓/工期↓。
内窓(インナーサッシ):既存+内窓で空気層断熱+防音。結露は枠の断熱ライン連続性に注意。
玄関・勝手口:採光+断熱+防犯の三立。ディンプル錠/CP部品で安心感を可視化。
営業Tip:**“電気代グラフ”より“結露の拭き取り回数ゼロ”**の方が刺さるお客さまが多い。生活価値を言葉に。️
一次防水(外装)→二次防水(サッシ)→室内の三段論法。
水返し・ドレインアップ・逆勾配NGを図面で赤入れ徹底。
シーリング二面接着と押え圧の数値化(テープ厚・プライマー銘柄)。
失敗学:「ドレイン穴はあるのに漏れる」→**穴の“出口側が負圧”**で吸い上げ。通気バランスを作ると止まる。
ラミセーフ合わせガラスで貫通遅延。
面付けクレセント→鎌錠化でこじ破り耐性。
内障子のクレセント高さを子ども手の届かない位置に。
指はさみ防止:引違いの重なり形状/ストッパで挟圧抑制。
“見えにくい安全”を可視化すると、選ばれやすい。
見付20〜25mm級でも剛性は諦めない——入隅リブ+高強度材で支える。
影の設計:立体的な見付段差で日射影を美しく。
カラー:マット系粉体/3分艶は汚れ・指紋が目立たない。
営業Tip:外壁サンプル×見付カラーのリアル組合せを常備。**“持ち帰りOKの小片”**が成約率を上げる。
開閉渋い:角出し不良/戸車高さ違い/パッキン伸ばし貼り。→角出し治具化/戸車選定統一/パッキン突き当て徹底。
結露する:枠-壁取り合い断熱欠落/ガラス選定ミスマッチ。→断熱連続ディテール周知/方位別ガラス表を営業に配布。
漏水:逆勾配/三面接着/ドレイン詰まり。→施工前チェックシート/二面接着教育/ドレインキャップ形状見直し。
仕組み:不具合票の“タグ”(原因分類)を統一し月次でPareto。トップ3に集中投資。
部材QR:ロット/加工履歴/検査写真を紐づけ。現場でスマホ照合→取り違いゼロ。
**治具の“設計番号”**を図面に明記→誰でも同精度。
動画SOP:30秒クリップで1工程1ポイント。
クラウド図面:最新版一元管理、“古図施工”を撲滅。
効果:再手直し−30%/仕掛在庫−15%/クレーム−40%(当社事例イメージ)。
リサイクル含有Alの採用、粉体塗装の回収率向上。
分解性設計(DfD):現地でパーツ交換しやすいねじ止め主義。
パッキン規格統一:10年後も入手可に。
省梱包・リターナブル緩衝材——廃棄費用は“見えないコスト”。
営業トーク:LCC(ライフサイクルコスト)とCO₂の二軸グラフで“長く安い”を説明。
段取りボードで今日の不良ゼロ目標/危険予知をチームで声出し。
**新人には“角出し一発治具”**を渡し、成功体験を1日目に。
ベテランの“音・匂い”講座——刃先の鳴き/焼け臭を言語化。
**評価は“速さ×再現性×安全”**の三点。
現場の“かっこよさ”を言葉にすると、採用力が上がる。
課題:飛来塩分/夏季日射/冬季西風。
解:フッ素焼付(海浜)+遮熱Low-E+サーマルブレイク二重。
施工:二次防水連結ディテール+下枠ドレイン増設。
結果:結露クレーム0/夏室温−2.5℃体感(空調設定同条件)。
学び:枠-壁取り合いを最初に決めると、半分勝ち。
アルミサッシ加工は、ミリの世界を積み重ね、水・熱・音の現象を御し、人の生活価値に変える仕事です。
売れる:体感価値(静か・暖かい・明るい)をデモと言葉で届ける。
長持ち:サーマル・気密・雨仕舞いをディテールとSOPで守る。
安全:治具化・標準化・教育で“同じ良品”を高速に量産する。
図面の一本線が、暮らしの一日を変える。その手応えを、次の一本でさらに確かなものにしていきましょう。✨

皆さんこんにちは!
高橋工業株式会社の更新担当の中西です
高橋工業のよもやま話
~押出材が窓になるまでの全工程をほどく ✨~
アルミサッシ加工業は、「押出材」という無垢の棒や形材に“図面上の理想”と“暮らしの使い勝手”を同時に宿す仕事です。軽さと剛性、耐食性、加工性を兼ね備えたアルミは、住宅・オフィス・商業施設・工場・学校……ありとあらゆる建物の“顔”を形づくります。けれど、ショールームで輝く窓も、現場で雨風を受け止める窓も、その裏側には精密加工・組立・試験・物流・施工連携という膨大な段取りが存在します。本稿では、押出→切断→切欠き→穴あけ→塑性加工→表面処理→熱樹脂(サーマルブレイク)→組立→検査→梱包→出荷までを、現場目線で一気通貫に解きほぐします。
アルミサッシの母材は、多くが6000系(例:6063、6061)。Mg-Si系は押出性◎/耐食性◎/熱処理で強度調整可というバランスの良さが武器です。
形状設計:ガラス溝、パッキン溝、ドレイン経路、ねじれ止めの二次曲げ剛性を押出断面で確保。
押出歩留まり:ダイスの寿命、肉厚ムラ、口開き防止。**設計段階で加工性(切欠き余地・治具逃げ)**を織り込むことが後工程の命綱。
寸法公差:±0.2〜0.5mmの世界で、**相手部材(スチール下地・木枠)**との“はめあい”を先読みします。
現場Tip:断面に“縦リブ”をさりげなく足すと、曲げ剛性↑/ねじれ耐性↑。同時に放熱フィンとしても効き、陽射しの熱だまりを抑えられます。
切断角度±0.1〜0.2°/長さ公差±0.3〜0.5mmを狙うと、組立での“ねじれ矯正”が激減します。
丸鋸+超硬チップ:バリ低減、潤滑切削で刃寿命↑/面粗度安定。
低温切断:夏場は素材温度上昇で伸びる→ミスト冷却・定尺補正で対処。
バーコード管理:切断時にロット・長さ・工程先を付与し、取り違いゼロへ。
切欠き:戸車・クレセント・ストライク受けなどの逃げ。NCルータ/パンチングで位置再現性を担保。
穴あけ:リベット・ビス・水抜きドレイン。ドレインはφ3〜5mm×複数段で毛細現象対策。
曲げ:ローラーベンダ/プレスで見付(みつけ)側の美観を崩さず、回復ばねを見越した型取り。
サーマルブレイク前提の“分割加工”:内外分割後に樹脂(ポリアミド)で連結する前提なら、加工順序の逆転が発生。治具は二系統用意。
現場Tip:切粉(スワーフ)管理は品質×安全×機械寿命の三方よし。真空吸引+静電気対策で夏の付着地獄を回避。⚡
陽極酸化(アルマイト):硬化層+耐食、クリア〜ブロンズ。封孔処理で染料の退色を抑制。
粉体塗装:厚膜で耐候・耐チッピング、色自由。端面アースと**膜厚(70〜100μm)**の均一化が勝負。
フッ素系焼付:海浜・高紫外域での超耐候。コストと納期のバランス設計が鍵。
表面処理前の脱脂・化成処理が甘いと、ブリスター・ピンホールが後から“花咲く”——前処理はケチらない。
内外のアルミを樹脂で絶縁し、**熱橋(ヒートブリッジ)**を遮断。
ストラット方式:内外形材にポリアミドストラットを圧入→ロールクリンチ。
樹脂注入方式:形材にポリウレタン発泡を流し込み固着(海外では根強い)。
U値改善/結露抑制はもちろん、遮音・振動減衰にも副次効果。
現場Tip:内外の長さ差(バイメタル効果)をモデル化し、夏冬の反りをシミュレート。長辺サッシの気密線の追従が安定します。
ガスケット:EPDM/シリコーンを押さえ圧1.0〜1.5mmで設計。寒冷地硬化/高温軟化を見越したデュロメータ選定。
グレージングビード:ガラス見込みに対し均等荷重で“面シール”。
コーキング:二面接着が基本、バックアップ材で三面を避ける。プライマーの塗り忘れは漏水の典型。
ドレインアップ(溝の立ち上がり)を適所に入れ、毛細上昇を遮断。
角継ぎ:コーナー金具+ピン+ビス/圧着機。対角寸法差0.5mm以内で“矩”を出す。
可動部:戸車・ヒンジ・クレセントは締結トルクを規定化。過締め=摺動不良の元。
気密材貼り:継目の“逆目”に注意、無理に伸ばさず突き当てで。
ガラス入れ:スペーサー(セッティングブロック)で荷重分配、片寄り破損を防止。
外観:1m離れて斜め45°で傷・打痕・色ムラをチェック。
寸法・対角:ゲージ・治具で即時判定、再調整のしろを残す。
機能:開閉力(N)/戸車走行音(dB)/施解錠の均一性。
気密・水密(社内試験):簡易ブースで散水+加圧、漏水位置の特定→対策ナレッジ化。
検査票+写真をセットでクラウド保存。トレーサビリティはクレームの盾であり改善の地図でもあります。️
角当て+二重ラップ、緩衝材はリターナブルへ。
立て積み基準:見付の弱い面を避ける/振動方向に梁を向ける。
現場時間指定:レッカー手配・監督在席時間とピン留め。
雨天時:仮設養生+置き場の“水勾配”を確保。
「梱包はコスト」ではなく品質工程。ここを磨くと歩留まりと信頼が同時に上がります。
開口寸法と下地誤差:±5mmを超える現場はスペーサー・シムで吸収設計。
防水:一次防水(外装)×二次防水(サッシ)の連結ディテールを事前合意。
引渡しチェック:クレセント位置/戸車調整/気密材の“継ぎ目”を立会いで。
現場の“想定外”は共有フォーマットで回収し、設計へフィードバック。ループを回すほど強くなるチームです。
押出の線一本、ドレインの小さな穴一つ、ガスケットの硬さ1°——微差の集合が、10年、20年先の快適を決めます。ミリの設計/水の経路/熱の橋を断つ。その三題を、図面・治具・手順・記録で支えるのが加工現場の誇りです。
次回は、リフォーム・高断熱化・大型建築・スマート化まで視野を広げ、売れる設計・長持ちのコツ・現場クレームの未然防止を深掘りします。
