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月別アーカイブ: 2025年10月

高橋工業のよもやま話~Part24~

皆さんこんにちは!
高橋工業株式会社の更新担当の中西です

 

高橋工業のよもやま話

~高断熱・遮音・大型化・スマート化を現場知で解く ️~

 

“売れる窓/長持ちの窓”に仕立てるかを具体策でまとめます。**新築・リフォーム・非住宅(商業・医療・学校・工場)**それぞれのツボを押さえ、クレーム未然防止・施工連携・DXまで視野を拡げます。


1️⃣ 省エネ・断熱:U値を下げる“総合格闘技” ❄️

サーマルブレイク+Low-E複層ガラス(Ar/Kr封入)+ウォームエッジスペーサが定番。

  • 枠の断熱:樹脂ストラットの厚み・本数・位置線熱貫流を抑制。

  • ガラス選定日射取得型/遮熱型を地域別・方位別に最適化。南面は冬の日射取得、西面は夏の遮熱が効く。

  • 気密2段気密+可変気密材風圧域でも漏気を抑える。

現場Tip:枠と壁の取り合い断熱を軽視しない。発泡ウレタンの“閉孔率”や防湿シートの重ね代をディテールに落とし込むと、窓だけ良くて周りで結露を防げます。


2️⃣ 遮音:数字(dB)を“体験”に変換する

  • ガラス厚非対称(例:8+12A+5)で共鳴周波数の分散

  • 合わせガラス(中間膜)で中高域の吸収

  • 枠の空洞共鳴吸音材・断面リブで鈍らせる。

  • すきま風=低域ショートパス二段気密+重なり寸法で遮断。

営業トーク:“道路騒音が人の会話に落ちる”という比喩が刺さる。実機デモ+スマホ騒音計で体感を売る。


3️⃣ 非住宅・大型化:美観と施工性の両立

商業・教育・医療では見付が細い大開口が求められます。

  • スリム見付内蔵補強(スチールインサート)/高強度アルミで剛性確保。たわみL/250〜300を目標に。

  • ユニット化:工場でサッシ+ガラス完成体ユニット輸送→現場は吊込みのみ。工期短縮・品質安定

  • 耐風圧・地震支点可動/スリップディテールで地震時のガラス縁応力を逃がす。

現場Tip:ガラス吸盤の吸着面養生搬入動線の段差解消を設計に織り込む。最後の10mが事故の8割。


4️⃣ リフォーム市場:1日で“体感”を変える

  • カバー工法:既存枠を活かし、室内側に新枠解体粉じん・騒音↓/工期↓

  • 内窓(インナーサッシ)既存+内窓空気層断熱+防音。結露は枠の断熱ライン連続性に注意。

  • 玄関・勝手口採光+断熱+防犯の三立。ディンプル錠/CP部品で安心感を可視化。

営業Tip:**“電気代グラフ”より“結露の拭き取り回数ゼロ”**の方が刺さるお客さまが多い。生活価値を言葉に。️


5️⃣ 雨仕舞い:水は“勝手な方向”に流れる ️

  • 一次防水(外装)→二次防水(サッシ)→室内三段論法

  • 水返し・ドレインアップ・逆勾配NGを図面で赤入れ徹底。

  • シーリング二面接着押え圧の数値化(テープ厚・プライマー銘柄)。

失敗学:「ドレイン穴はあるのに漏れる」→**穴の“出口側が負圧”**で吸い上げ。通気バランスを作ると止まる。


6️⃣ 防犯・安全:見えない安心を仕込む ️

  • ラミセーフ合わせガラスで貫通遅延。

  • 面付けクレセント→鎌錠化でこじ破り耐性。

  • 内障子のクレセント高さ子ども手の届かない位置に。

  • 指はさみ防止:引違いの重なり形状/ストッパで挟圧抑制。
    “見えにくい安全”を可視化すると、選ばれやすい。


7️⃣ 美観・意匠:細い・影がきれい・色がもつ ️

  • 見付20〜25mm級でも剛性は諦めない——入隅リブ+高強度材で支える。

  • 影の設計立体的な見付段差日射影を美しく。

  • カラーマット系粉体/3分艶汚れ・指紋が目立たない。

営業Tip:外壁サンプル×見付カラーリアル組合せを常備。**“持ち帰りOKの小片”**が成約率を上げる。


8️⃣ クレーム未然防止:よくある“3大原因”と対策

  1. 開閉渋い角出し不良/戸車高さ違い/パッキン伸ばし貼り。→角出し治具化/戸車選定統一/パッキン突き当て徹底

  2. 結露する枠-壁取り合い断熱欠落/ガラス選定ミスマッチ。→断熱連続ディテール周知/方位別ガラス表を営業に配布。

  3. 漏水逆勾配/三面接着/ドレイン詰まり。→施工前チェックシート/二面接着教育/ドレインキャップ形状見直し

仕組み:不具合票の“タグ”(原因分類)を統一し月次でParetoトップ3に集中投資。


9️⃣ DX・標準化:強い現場は“同じやり方”で速い ️

  • 部材QRロット/加工履歴/検査写真を紐づけ。現場でスマホ照合取り違いゼロ

  • **治具の“設計番号”**を図面に明記→誰でも同精度

  • 動画SOP30秒クリップ1工程1ポイント

  • クラウド図面最新版一元管理、“古図施工”を撲滅。

効果:再手直し−30%/仕掛在庫−15%/クレーム−40%(当社事例イメージ)。


サステナブル:軽く・長く・直せる ♻️

  • リサイクル含有Alの採用、粉体塗装の回収率向上。

  • 分解性設計(DfD):現地でパーツ交換しやすいねじ止め主義

  • パッキン規格統一10年後も入手可に。

  • 省梱包・リターナブル緩衝材——廃棄費用は“見えないコスト”。

営業トーク:LCC(ライフサイクルコスト)とCO₂二軸グラフで“長く安い”を説明。


1️⃣1️⃣ 人材育成:暗黙知を“共有知”に変える

  • 段取りボード今日の不良ゼロ目標/危険予知をチームで声出し。

  • **新人には“角出し一発治具”**を渡し、成功体験を1日目に

  • ベテランの“音・匂い”講座——刃先の鳴き/焼け臭を言語化。

  • **評価は“速さ×再現性×安全”**の三点。

現場の“かっこよさ”を言葉にすると、採用力が上がる。


1️⃣2️⃣ 事例スナップ:南面大開口×海風地域のケース

  • 課題飛来塩分/夏季日射/冬季西風

  • フッ素焼付(海浜)遮熱Low-Eサーマルブレイク二重

  • 施工二次防水連結ディテール下枠ドレイン増設

  • 結果結露クレーム0/夏室温−2.5℃体感(空調設定同条件)。

学び:枠-壁取り合いを最初に決めると、半分勝ち


まとめ:売れる・長持ち・安全——“三方よし”の窓づくりへ

アルミサッシ加工は、ミリの世界を積み重ね、水・熱・音の現象を御し、人の生活価値に変える仕事です。

  • 売れる:体感価値(静か・暖かい・明るい)をデモと言葉で届ける。

  • 長持ちサーマル・気密・雨仕舞いディテールとSOPで守る。

  • 安全治具化・標準化・教育で“同じ良品”を高速に量産する。
    図面の一本線が、暮らしの一日を変える。その手応えを、次の一本でさらに確かなものにしていきましょう。✨

 

 

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高橋工業のよもやま話~Part23~

皆さんこんにちは!
高橋工業株式会社の更新担当の中西です

 

高橋工業のよもやま話

~押出材が窓になるまでの全工程をほどく ✨~

 

アルミサッシ加工業は、「押出材」という無垢の棒や形材に“図面上の理想”と“暮らしの使い勝手”を同時に宿す仕事です。軽さと剛性、耐食性、加工性を兼ね備えたアルミは、住宅・オフィス・商業施設・工場・学校……ありとあらゆる建物の“顔”を形づくります。けれど、ショールームで輝く窓も、現場で雨風を受け止める窓も、その裏側には精密加工・組立・試験・物流・施工連携という膨大な段取りが存在します。本稿では、押出→切断→切欠き→穴あけ→塑性加工→表面処理→熱樹脂(サーマルブレイク)→組立→検査→梱包→出荷までを、現場目線で一気通貫に解きほぐします。


1️⃣ 押出材の理解から始める:合金と形状が“窓の性格”を決める

アルミサッシの母材は、多くが6000系(例:6063、6061)。Mg-Si系は押出性◎/耐食性◎/熱処理で強度調整可というバランスの良さが武器です。

  • 形状設計:ガラス溝、パッキン溝、ドレイン経路、ねじれ止めの二次曲げ剛性を押出断面で確保。

  • 押出歩留まり:ダイスの寿命、肉厚ムラ、口開き防止。**設計段階で加工性(切欠き余地・治具逃げ)**を織り込むことが後工程の命綱。

  • 寸法公差:±0.2〜0.5mmの世界で、**相手部材(スチール下地・木枠)**との“はめあい”を先読みします。

現場Tip:断面に“縦リブ”をさりげなく足すと、曲げ剛性↑/ねじれ耐性↑。同時に放熱フィンとしても効き、陽射しの熱だまりを抑えられます。


2️⃣ 切断の品質=以降すべての品質 ✂️

切断角度±0.1〜0.2°/長さ公差±0.3〜0.5mmを狙うと、組立での“ねじれ矯正”が激減します。

  • 丸鋸+超硬チップ:バリ低減、潤滑切削で刃寿命↑/面粗度安定

  • 低温切断:夏場は素材温度上昇で伸びる→ミスト冷却・定尺補正で対処。

  • バーコード管理:切断時にロット・長さ・工程先を付与し、取り違いゼロへ。


3️⃣ 加工(切欠き・穴あけ・曲げ):ミリ以下で“機能”が立ち上がる

  • 切欠き:戸車・クレセント・ストライク受けなどの逃げ。NCルータ/パンチング位置再現性を担保。

  • 穴あけリベット・ビス・水抜きドレイン。ドレインはφ3〜5mm×複数段毛細現象対策

  • 曲げローラーベンダ/プレス見付(みつけ)側の美観を崩さず、回復ばねを見越した型取り。

  • サーマルブレイク前提の“分割加工”内外分割後に樹脂(ポリアミド)で連結する前提なら、加工順序の逆転が発生。治具は二系統用意。

現場Tip:切粉(スワーフ)管理は品質×安全×機械寿命の三方よし。真空吸引+静電気対策で夏の付着地獄を回避。⚡


4️⃣ 表面処理:見た目だけじゃない“耐久の皮膚” ️

  • 陽極酸化(アルマイト)硬化層+耐食、クリア〜ブロンズ。封孔処理で染料の退色を抑制。

  • 粉体塗装:厚膜で耐候・耐チッピング、色自由。端面アースと**膜厚(70〜100μm)**の均一化が勝負。

  • フッ素系焼付:海浜・高紫外域での超耐候。コストと納期のバランス設計が鍵。
    表面処理前の脱脂・化成処理が甘いと、ブリスター・ピンホールが後から“花咲く”——前処理はケチらない。


5️⃣ サーマルブレイク:結露を断つ“目に見えない断熱” ❄️

内外のアルミを樹脂で絶縁し、**熱橋(ヒートブリッジ)**を遮断。

  • ストラット方式:内外形材にポリアミドストラット圧入→ロールクリンチ

  • 樹脂注入方式:形材にポリウレタン発泡を流し込み固着(海外では根強い)。
    U値改善/結露抑制はもちろん、遮音・振動減衰にも副次効果。

現場Tip:内外の長さ差(バイメタル効果)をモデル化し、夏冬の反りをシミュレート。長辺サッシの気密線の追従が安定します。


6️⃣ ガスケット・ビード・コーキング:水は“細いところ”から来る

  • ガスケットEPDM/シリコーン押さえ圧1.0〜1.5mmで設計。寒冷地硬化/高温軟化を見越したデュロメータ選定。

  • グレージングビードガラス見込みに対し均等荷重で“面シール”。

  • コーキング二面接着が基本、バックアップ材で三面を避ける。プライマーの塗り忘れは漏水の典型。
    ドレインアップ(溝の立ち上がり)を適所に入れ、毛細上昇を遮断。


7️⃣ 組立:矩(かね)を出す=歪まない・鳴かない・漏らさない

  • 角継ぎコーナー金具+ピン+ビス/圧着機対角寸法差0.5mm以内で“矩”を出す。

  • 可動部戸車・ヒンジ・クレセント締結トルクを規定化。過締め=摺動不良の元。

  • 気密材貼り継目の“逆目”に注意、無理に伸ばさず突き当てで。

  • ガラス入れスペーサー(セッティングブロック)で荷重分配片寄り破損を防止。


8️⃣ 検査・試験:数字と言葉で“良品”を定義する

  • 外観1m離れて斜め45°で傷・打痕・色ムラをチェック。

  • 寸法・対角ゲージ・治具で即時判定、再調整のしろを残す。

  • 機能開閉力(N)/戸車走行音(dB)/施解錠の均一性。

  • 気密・水密(社内試験):簡易ブースで散水+加圧漏水位置の特定→対策ナレッジ化
    検査票+写真をセットでクラウド保存。トレーサビリティはクレームの盾であり改善の地図でもあります。️


9️⃣ 梱包・物流:最後の1mで全てが決まる

  • 角当て+二重ラップ緩衝材はリターナブルへ。

  • 立て積み基準見付の弱い面を避ける/振動方向に梁を向ける

  • 現場時間指定:レッカー手配・監督在席時間とピン留め

  • 雨天時:仮設養生+置き場の“水勾配”を確保。
    「梱包はコスト」ではなく品質工程
    。ここを磨くと歩留まりと信頼が同時に上がります。


施工連携:工場の“良品”を現場の“良品”へ ️

  • 開口寸法と下地誤差±5mmを超える現場はスペーサー・シムで吸収設計。

  • 防水一次防水(外装)×二次防水(サッシ)の連結ディテールを事前合意。

  • 引渡しチェッククレセント位置/戸車調整/気密材の“継ぎ目”を立会いで。
    現場の“想定外”は共有フォーマット
    で回収し、設計へフィードバック。ループを回すほど強くなるチームです。


まとめ:アルミサッシ加工は“ミリと水と熱”の設計学

押出の線一本、ドレインの小さな穴一つ、ガスケットの硬さ1°——微差の集合が、10年、20年先の快適を決めます。ミリの設計/水の経路/熱の橋を断つ。その三題を、図面・治具・手順・記録で支えるのが加工現場の誇りです。
次回は、リフォーム・高断熱化・大型建築・スマート化まで視野を広げ、売れる設計・長持ちのコツ・現場クレームの未然防止を深掘りします。

 

 

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